2017年8月28日月曜日

七夕伝説によせて。その2~星が落ちてきた日 隕石落下の地・大阪交野

今日8月28日は旧暦七夕。現在空は曇っているけれど、天の河は見えるでしょうか。

昨年公開され話題になったとても綺麗な映像のアニメーション映画【君の名は】(新海誠監督)。岐阜県飛騨地方の糸守町という所に住む女の子と東京在住の男の子が超時空の体験をするストーリーで、内容の随所に散りばめられた神道のエッセンス=巫女の口噛み酒による黄泉がえり(過去への回帰)や言霊の力、着物でも帯締めに使われる組紐を絆=縁の【ムスビ】=など、古代日本史好きにはそそられるものがありました。映画で核となる設定になっているのが隕石落下という大事件ですが、日本には隕石が落下した事件が実際にも存在しています。大阪と奈良の県境にある交野付近です。

星田妙見宮と呼ばれる小松神社は、日本の七夕伝説発祥の地と言われる交野ケ原の小高い山=妙見山=の上に鎮座されてます。頂上の本殿奥にある、巨岩は【織女石(たなばたせき)】と呼ばれています。

この地に伝わる【七曜星(北斗七星)降臨】の伝説は、北辰の方角から隕石が落下したことを伝えているのではないかと云われています。実際のところこの付近の山の半分が欠落した地形になっていることから隕石衝突による地形変化も考えられます。

果たしていつ頃隕石は落ちたのでしょうか?これには複数説があり、今から1200年前の西暦816年とも535年ともいわれているようです。残念ながら専門家ではないので調べることができませんが、周辺に広がる【くろんど池】などの地形も衝撃波でできた湖の名残のような気がしています。

七夕伝説の方ですが、いつの頃から伝承されてきたのでしょうか。
交野~枚方地域は渡来系の人の居住地として知られています。元々は饒速日(ニギハヤヒ)を祖とする物部氏の一族が留まったのが始まりで、一族の祖が天の磐船で始めて河内、河上の哮(いかるが)に天下った故事に由来する磐船神社が存在しています。

おそらく神事を司る物部氏が持ち込んだ信仰が土台となり土地に星を祭り占う祭礼が発生していたのではないでしょうか。

おなじく枚方に【牧野】という地名が淀川沿いにありますが、古くは海を越えた騎馬民族が持ち込んだ馬を放牧する場所であったという説を古代史の本で読みました。

時代が下って奈良時代には百済王の子孫敬福が移り住み、道教の流れをくむ【北辰信仰】の占術を盛んにしたといわれています。百済(王)寺は地名にもなっており、今でも敬福が建立した敷地を訪れることができます。その後平安時代京都と海を結ぶ淀川沿いにある少し南の現在の寝屋川市辺りに秦氏の一部が移住してきてさらに渡来文化が根付きます。

こうして交野~枚方には七夕伝説が定着していきました。

北斗七星を中心に織姫(陰)と彦星(陽)が天で年一度出会う。陰陽道では冥府の神泰山府君と瀬織津姫(西王母・妙見の女神)の会合により、死者が蘇る秘術が施されると云います。星を生と死を司る神と観たり牛を生贄にしたりする道教から発展した【妙見】即ち【北辰信仰】というものは、私にはどこか古代オリエントの地母神・金星を表す女神イシュタルの黄泉還りも連想させるのです。

地球の自転の軸となる中心の北極星が、大昔には北斗七星の中の一つだったというから、人々の道しるべであり信仰の対象となりえたのでしょう。

地上から天空を仰いでも手が届かない星の一つが、ある日落ちてきたら...
その甚大な被害と衝撃は、神仏の仕業だと皆が恐れ驚くのは当然かもしれません(恐)。

はるかな昔から時を刻む星々の運行と、命ある人間の運命が想われます...


山上横の住宅地からの神社への入り口。


先月行った際予告されていた星まつりののぼり


巨岩【織女(たなばた)石】 隕石落下の根拠となるのか




七曜星を中心に表した神社のマーク


本来は山下から長い階段を登って境内に辿り着く


本殿のほかに豊玉、豊正龍王の祠も。


妙見山を下った正面入り口。


おまけ:国宝 曜変天目茶碗(稲葉天目)
★夜空に妖しく煌く星の様な虹彩と斑紋が、麗しい★




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